それ息子さんを下手にしているだけでは?親子でキャッチボールをするときに大事なこと

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『息子とキャッチボールしたい』という夢を持っている/持っていたお父さんは多いと思います。
で、このお父さんとのキャッチボールが子供を野球下手に野球嫌いにしていることが多々あります。

<事例>
息子のチームメイトに『あんまり野球好きじゃない子』がいます。対照的にお父さんは超熱心。コーチとして練習に参加しているお父さんは練習前とか練習終了後に一緒に練習していたりしますが、その時の練習が結構難しいことをやっているのです。結構難しいといっても7-8mくらい離れてキャッチボールをするとかなんですが、その子はボールに恐怖心があってなかなかキャッチボールが続かない。正面のボールをよけてポロポロとこぼしてしまう。投げるといろんな方向にずれてしまう。練習の時、お父さんは良かれと思って技術的なことを色々というわけです。『グローブをこう出せ』『肘をしっかりあげて投げろ』とか足の運び方とか。お父さんは『なんでできないんだ』と怒り、子供は楽しくなさそうです。

よくある風景です。

いきなりキャッチボールは高度すぎ!

いきなりグローブをはめて軟球で5メートルの距離をキャッチボールというのは無理があります。5メートル飛ぶボールというのは結構なスピードがあります。慣れていないと怖いものです。軟球は当たったら痛いので、顔なんかに当たったら1回でボール恐怖症になってしまいます。ボールへの恐怖心を一度持ってしまうと克服には時間がかかります。
野球の基本ということで簡単に捉えている人が多いですが、実はキャッチボールって技術的にとても高度なんです。
– 自分の正面に向かって飛んでくる球を(恐怖心の克服)
– 位置を予測して(空間把握)
– 捕球し(捕球)
– 正確に投げる(投球)
必要があります。

ボールを捕るだけじゃなくて、正確に投げる必要もあります。で、このボールを捕ると投げるってできるようになる時期、必要な練習量が違うんです。息子と遊んだ経験からいくと、ボールを捕る方が先に上手になります。投げる方は筋力の関係もあり結構時間がかかります。

ちょっとずつ難易度をあげる

まず初めは
– 柔らかいボールで(恐怖心を持たせない)
– とても短い距離から 50cmとか1m!(空間把握のトレーニング)
– 下からゆっくり山なり(簡単な捕球)
キャッチボール(?) といえないようなことから段々と距離を長くしていきました。

我が家の場合、キャッチボール(というより守備練習っぽいですが)は以下のように進化していきました。
→ 手のひらの上からボールを落とす ほぼ手渡しです
→ 取れたらその場で上に軽く投げる
→ 取れたら50cm離れて下から投げる
→ 取れたら1m離れて下から投げる
→ 2m、3mと徐々に徐々に距離を伸ばす
→ できなかったら距離を短くして確実に取れたら距離を伸ばすを繰り返す
→ 確実に取れるようになると山なりから速い球に
→ ワンバウンドやゴロを投げる
→ 正面ではなく左右に離れたところに投げる
→ 前後に離れたところに投げる
→ まずボールを捕れるようになることだけに集中して投げる方は適当です

距離が伸びたら次は、山なりの軌道からまっすぐな速い球にしていきました。
5mくらいの距離でそれなりのスピードの球を取れるようなったところで、テニスボールに昇格。その辺りで野球チームに入ったので、息子はチームに入るまで軟球でキャッチボールしたことはなかったはずです。でも、入ってすぐに守備だけはできていました。外野フライもすぐ捕れたようです。

多くの少年野球チームはここまで簡単なところから始めてくれません。大抵グローブをつけて軟球のキャッチボールからです。その前に小さなステップを踏んでおくことで、恐怖心を持つことなく順調に成長できるようになるのですが。。。

できなかった時は『おしい!もう一丁!』

グラブに当てて捕れなかった時、『ちゃんと捕れ!』はダメです。そこは『おしい!』です。落下点には入れているわけですから、いい感じなのです。できなかった時は『おしい!もう一丁!』、で、同じような球を投げてあげる。捕れたら『ナイスキャッチ!』『いいぞ』です。怒らず褒めることで楽しく遊ぶのです。

1つの練習で向上を図るのは1つのスキル

キャッチボールでは捕球と投球の2つのスキルが必要になります。大抵捕球が先にうまくなります。捕球はできるようになったけれど、投球がバラつくという時に『ちゃんと投げろ』といってはダメです。楽しくありません。そこは『よく捕った』と褒めるべきです。何かができたのに何にもできていないかのような、叱責はやめましょう。
キャッチボールでは、落下点にはいる→捕球→投球という順番でうまくなることが多いので、その順番でできることを1つずつ増やしていくのです。同時に3つのスキルが向上するというのは高望みしすぎです。まずは1つづつできるように段階を踏み、できるようになったことをほめてあげることが大事です。

子供を野球上手にしたかったら
– まず楽しく遊んで褒めて『野球好き』にする
ことがとても大事だと思います。

技術的なことを、『あーだ』『こうだ』と指導しても子供は楽しくありませんし、その指導は大抵の場合、子供を下手にするだけです。
野球やサッカーなどの技術(暗黙知)は、子供自身が自分で身につけるしかないのです。
そのためには、その子が失敗しない、確実に成功する/できることを繰り返しする方が良いと思うんですよね。

私も妻もその点だけは上手にできたと自負しています。

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